こんなに奥が深くて理解しにくい舞台は初めてだったので、観劇の感想もいい舞台だったとも言えるし、難しかったのでよくなかったとも言いにくい。

まあお芝居の内容は後にして、さすがだなと思ったのは出演者のパフォーマンス。

まず開演前に客席に何人かの出演者が現れて、お客さんに話しかけたり、空いている席に座り込んでとなりのお客さんとおしゃべりしたり、なんと言っても驚いたのは私は通路から4番目の席だったので1,2番目の人(どうもカップルだったらしい)に通路に座り込んで話しかけてきた。(英語でね)
「あなたたち、どこから来たの?」
男女二人だったから「あなたたちカップルね?」
「カモン!!」と言って二人を連れて行くのだけど、どこへ連れていかれるんだろう?と思ってたらなんと最前列にパイプ椅子の席がいくつか用意されていて、「どうぞここで観劇してね」って言われて最後までそこで観劇してた。
同じようなことを他の出演者もやっていて、カップルばかりではないんだけどラッキーなことに後ろのほうの席だった人が最前列のその特別席に連れていってもらってた。

もうこれだけでお客さんと出演者のコミュニケーションはバッチリ。

休憩時間には何もなかったんだけど、2幕目が始まるとすぐにMC役の人が出てきて客席に降りてきてお客さんに話しかけるの。
「う〜んドレッシーな服装ね」とかいろいろ。
これもまたびっくりしたのは、女性のお客さんに「う〜ん、あなた素敵いっとき僕の彼女になってくれる? さあスタンダップ!」と言ってその女性と二人でダンスを始めたの。
2分ぐらいは踊ってたと思う。
またそのリードの仕方が素敵なの。

こういうのを見て「あぁ、これがブロードウェイなんだ」と思ったね。
お客さんと舞台を一体感にさせる、見事なパフォーマンスだと思った。

そういえば、ぶんちゃんもこういう風にお客さんとジャレあうのスキだよなぁと。
ぶんちゃんも休暇のときはよくニューヨークに行って、舞台を観てると言ってたから、こういうのを宝塚に取り入れようとしてたんだなって思ったね。

さてお芝居の内容は、1幕目の初めのほうは笑いあり、ジーンとくる場面ありで楽しく観てたんだけど、ナチズム時代のドイツが舞台だから急に重いものがドーンと落ちてきた気分だった。
2幕目は恋に落ちた老人の男性のほうが実はユダヤ人。
ユダヤ人とわかるまでは、恋には年齢なんて関係ないんだなと思って観てたけど女性のほうがこのまま安定した生涯を送りたいと言って別れようとするのだけど、その女性の考え方が男性にはなかなか理解できない状態。
若いカップルも登場してくるのだけど、そちらはユダヤとは関係ないのだけどその二人の関係にもナチズムが背景にあるのかうまく行かなくなっていく。

ラストシーンが一番わからなかった。

MC役の人が中央に出てきてコートを脱いだら囚人服姿。
ということは、このMCの人も実はユダヤ人だったの?でお芝居は終わり。

ほとんどのお客さんが、これがラストシーンだと思わなかったのだろう(私もそうなんだけど)拍手がパチパチと少人数だけの拍手が起こって「もしかしてこれがラストシーンなの?」って感じで舞台全体のライトが消えた。

だからカーテンコールも起こらなかった。

私は何が何だかさっぱりわからず、しばらくの間、座席から立ち上がれなかった。

私の舞台観劇はだいたい一回観れば十分で二回同じのを観ようと思わないのだけど、この舞台はもう一回観ないとダメだと思った。

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